【何が違う?】ディーゼルエンジン用オイルの特徴とは?

ディーゼルエンジン用オイルとは?

|ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの違い

 

自動車を購入する時は、ガソリンエンジン車にするか、ディーゼルエンジン車にするか、なかなか悩ましいところです。それぞれのエンジンには一長一短の特徴があり、乗る人の運転スタイルや使用方法によって、どちらがいいかを選ぶことになります。

ガソリンエンジンと比較して、「トルク」(単位:N・m ニュートンメーター)が高く粘り強い特性を持つディーゼルエンジンは、主にバスやトラックなどの重量物を運ぶような業務用車両に使われてきました。

ここで少し「トルク」の説明です。トルクとはクランクシャフトから発生する回転力のことであり、簡単に言うと重いクランクシャフトをブンブン回転させる力強さです。トルクの数値が高いエンジンは、低速域からの加速力や重量物のけん引力に優れています。このような大きなトルクを発生させる特性を持つディーゼルエンジンは、バスやトラックに相性がいいのです。

 

しかし、そもそもディーゼルエンジンとガソリンエンジンって何が違うのでしょう?

まず思いつくのは、燃料が違いますね。ディーゼルエンジンは軽油で動きます。ガソリンエンジンはガソリンで動きます。

この燃料の違いから2つのエンジンの仕組みに差が生まれて来ます。単純化しますと、エンジン構造上のもっとも大きな違いは、ディーゼルエンジンには混合気(燃料と空気が混ざっている気体。燃焼室内で爆発させるための気体)を爆発させるためのスパークプラグや点火装置がありません。なぜなら、軽油は引火点が低く、エンジンの燃焼室内で圧縮させることで自然発火するのです。

ガソリンエンジンの場合は、点火プラグの先端から発するスパーク(火花)の1点から燃焼が拡がっていきます。それとは対称的に、ディーゼルエンジンの燃焼は高圧縮比による自然発火のため、燃焼室内の複数の箇所で爆発と燃焼、急激な膨張が起こります。更に、この高い爆発力を効率よくエネルギーに転換するために、ディーゼルエンジンのピストンストローク量(ピストンが上下運動する長さ)は、ガソリンエンジンと比較して長くなっています。つまり、燃料、爆発力、ピストンのストローク量の違いが、ディーゼルエンジン特有の高いトルク特性を生んでいるのです。

ここのテーマから若干それますが、皆さんが気になる「馬力とトルクの違い」についても、説明します。

クルマの性能を語るときによく出てくる「馬力」と「トルク」。どちらもエンジンの力を表す言葉ですが、意味は少し違います。トルクは「力そのもの」、馬力は「仕事をこなす速さ」を表しています。

たとえば、自転車をこぐ場面を想像してください。ペダルをぐっと踏み込む力が「トルク」です。強い力で踏めばトルクが大きくなります。一方で、ペダルを速く回せばたくさんの仕事を短時間でこなせます。これが「馬力」にあたります。つまり、トルクは押す力、馬力はその力でどれだけ速く走れるか、という違いです。

車の発進や坂道を登るときは、力強く引っ張るトルクが重要になります。逆に高速道路でスピードを出したいときには、回転数を上げてより多くの仕事をする馬力が効いてきます。わかりやすく言えば、トルクが「力強さ」、馬力が「速さ」を決める要素です。どちらもクルマの走りに欠かせない要素で、エンジン性能を知るうえでセットで理解しておくと、車選びやチューニングがより楽しくなりますね。

 

さて、パワフルで乗りやすいディーゼルエンジンですが、問題もありました。①振動が大きい、燃料の臭いがする、②排気ガスが汚い、等の課題が残っていたのです。そして、このような理由から乗用車では人気がなかったのです。

しかし近年では技術革新により、これらの課題が大幅に改善され乗用車への人気が高まっています。燃費、出力、臭い、環境性能が大幅に向上し、 乗用車にも広く搭載されるケースが増えています。

技術革新の内容は、後述いたします。

 

|なぜディーゼルエンジン用オイルが存在するのか?

ディーゼルエンジンの燃料である 軽油には、ガソリンよりも多くの硫黄分が含まれています。硫黄は 燃焼すると硫黄酸化物、つまりゴミとなってしまいます。硫黄だけではなく、炭素、窒素、リン、等、軽油に含まれる各成分は、燃焼により酸化反応を起こし、酸性のゴミ(一般的にスラッジと言われていますね)となりエンジン内部に滞留してしまいます。

先程は、燃焼特性の違いから、ガソリンよりも優れているように記載しましたが、実は軽油はガソリンよりもパワフルに爆発するわりには、不完全燃焼も起こしているという特性があり、上述のゴミとなる酸化化合物の発生が多いのです。

そこで、これらのゴミ(酸化化合物)を中和(溶かし)する必要が出てきます。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここでエンジンオイルの5大役割のひとつ『清浄分散性能』が登場します。清浄分散剤というのは、簡単に言うとアルカリ性物質であり、これがエンジン内部のゴミ(酸性物質)と中和反応を起こし『中性物質』(水分など)となるように設計されています。これが『清浄性能』です。

しかし、水分がエンジン内部の特定の場所に滞留するとサビや焼き付きを起こす原因となるので、中和して発生した水分はエンジンオイル内に分散して取り込まれます。これが『分散性能』です。

だから、『清浄分散性能』と言うんですね!

 

 

さて、ずいぶん遠回りした内容になりましたが、つまりディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも酸性物質の発生が多く、それを中和するための清浄分散剤をガソリンエンジン用オイルよりも多く配合する必要があるのです。

この清浄分散剤の量の違いが、もっとも大きな差異となります。

この話から考えますと、ディーゼルエンジン用オイルは、ガソリンエンジンにも使用可能です。しかし、ガソリンエンジン用オイルは、ディーゼルエンジンには使用できません。清浄分散性能が足りませんね。

|クリーンディーゼルエンジンとは?

現在、クリーンディーゼルと呼ばれる、新世代のディーゼルエンジンが登場しています。発明とも呼ばれるコモンレール式高圧燃料噴射装置(出典:ウィキペディア)により、ディーゼルエンジンの弱点であった不完全燃焼を劇的に改善し、よりパワフルに燃え尽き、環境にも優しいクリーンディーゼルエンジンが登場したのです。 

そもそも振動や臭い、排気ガス汚染の原因は、軽油燃料が適切なタイミングで爆発せず、不完全燃焼してしまうことが大きな原因でした。この新しい燃料噴射装置は、素晴らし圧力と精度で燃料を噴射することが出来るので、不完全燃焼の問題を大幅に改善したのです。これにより、バスやトラックが中心であったディーゼルエンジンは、その経済性の高さ(ガソリンよりも軽油の方が価格が安い)も相まって乗用車にも人気が拡大して行きました。

 

ディーゼル微粒子フィルター(DPF)とJASO【DL-1規格】/【DH-2規格】の登場

『コモンレール式高圧燃料噴射装置』により大幅に改善した爆発と燃焼プロセスでしたが、年々厳しさを増す排気ガスのクリーン基準に対応するのはとても大変でした。そこで登場したのがDPF(ディーゼル微粒子フィルター)です。環境先進国のヨーロッパ諸国から普及していきましたが、日本では2000年代から多くのディーゼルエンジン車に搭載されることとなりました。

これは『コモンレール式高圧燃料噴射装置』を用いた燃焼であっても、どうしても燃え残ってしまう「微粒子」(PM2.5が有名ですね)を排気ガスとして排出する前に特殊なフィルターで捕獲し、燃やしてしまうという装置です。従って、エンジンとマフラー出口までの間に装着されています。

実はこの発生する微粒子は、エンジンオイル由来のものも含まれます。そのため、エンジンオイルに含まれるPM2.5の元となる物質も減らして、フィルターだけに頼らないようにする必要がありました。

そこで、そういった成分を一定量以下に減らしたディーゼルエンジン用オイルとして、JASO(日本自動車標準協会/Japan Automobile Standards Organization)が定めたのが【DL-1規格】や【DH-2規格】なのです。つまり、クリーンディーゼルエンジン車でDPF装置が付いている車両では、【DL-1規格】や【DH-2規格】のオイルを使用する必要があります。これらの規格品を使用しないと、フィルターの目詰まりリスクが高まってしまうのでご注意ください。

また、【DL-1規格】は乗用車用、【DH-2規格】はバスやトラック用の規格になります。

 

ディーゼルエンジンの解説は如何でしたでしょうか。

高トルクなディーゼルエンジンですが、長いストローク量から高回転は苦手で馬力も大きくはなりません。ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の特性を理解し、ご自身のライフスタイルに合った選択をしたいものですね。

そして、愛車を大切にするためにも、正しいエンジンの知識を身につけ適切なオイルの選択もしていきましょう。

TAKUMIモーターオイルでは、ディーゼルエンジン用オイルのラインナップも豊富です。

 

ガソリン/ディーゼルエンジン兼用オイルもあります。

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