エンジンオイルの品質と規格
【要注意!】エンジンオイルの品質と規格を正しく理解しよう
エンジンオイルは、エンジンを「心臓」に例えるならば、まさにその「血液」にあたる存在です。どんなに高性能なエンジンであっても、どれだけ大排気量のスポーツエンジンであっても、質の低いオイルを使っていては本来の性能を発揮することができません。
むしろ、粗悪なオイルを使い続けると、エンジン内部の摩耗や焼き付きなど重大なトラブルを引き起こす危険すらあります。エンジンオイルは“エンジンを守る命綱”なのです。
しかし一方で、エンジンオイルの「品質」を見た目で判断することは非常に難しいものです。エンジンに詳しい人やサーキット走行を楽しむ愛好家でさえ、走行フィーリングの違いは感じ取れても、オイルの性能を数値として評価することは困難です。
だからこそ、エンジンオイルには「誰が見ても品質を判断できる基準」が必要になります。そのために存在するのが、公的機関が定めたエンジンオイルの品質規格です。
品質を示すの代表的なものは、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute)による API規格(エーピーアイ規格)や国際潤滑油標準化認定委員会によるILSAC規格(イルザック規格)、 欧州自動車工業会のACEA規格(アセア規格)、さらに日本自動車技術会によるJASO規格(ジャソ規格)などが存在します。たくさんありますね。
現在はひとつのオイルに対して、これら複数の規格認定を受け表示している場合もあります。
■ API規格とは?最も身近で信頼できる基準
日本で最も広く使われているのは、アメリカ石油協会(API)が定めるAPI規格です。
API規格は、自動車の進化に合わせて定期的に更新されており、旧「SL」「SM」「SN」「SP」、そして最新の「SQ」規格へとアップグレードされています。
ここで注意すべきなのは、「缶にSPと書かれている=正式認証済み」とは限らないという点です。
API規格では、アメリカ石油協会による正式な認証を受けているオイルには、下記のような「API認証マーク」が表示されています。
この認証マークがない場合、そのオイルは**「SP相当品」**という扱いになります。
相当品でも一定の性能を持つ製品はありますが、メーカーの信頼性が低い場合は要注意。
規格を取得できるだけの開発設備や技術力がない可能性もあるため、オイル選びでは「認証マークの有無」を必ず確認しましょう。
TAKUMIモーターオイルは、正式にAPI認証を取得済みです。
安心して使用できる品質が保証されています。
このマークの表示がない製品に関しては、すべて「相当品」という事です。
きちんとしたメーカー(ブランド)さんの製品であれば、「相当品」も品質基準を満たしていますが、あまり有名でないブランドやその製品ラインナップの中に、ひとつ足りとも正式な認証を受けていない場合は要注意です。お気を付けください。
但し、当社の製品ラインナップの中にも旧来の認証規格である【SM規格】や【SN規格】表記の製品が存在しています。その理由については、「X-TREMEシリーズはなぜ最新規格ではない!?」をぜひご覧ください。
規格は国や地域によって採用されている規格が異なりますので、わかりにくい部分かと思います。例えば、日本で主流の規格はアメリカ発のAPI規格ですが、ヨーロッパではACEA規格が認知されています。日本はAPI規格を採用しながらも日本独自のJASO規格も使用しています。更にここに、各自動車メーカーが認証する「メーカー認証」も参戦してきます。本当に難しいですね。
■ API規格とACEA規格の違いを理解しよう
ここでは、世界で最も代表的な2つの規格「API」と「ACEA」の違いを3つの視点で解説します。
① 対象地域と想定車種の違い
APIはアメリカを中心に、ガソリンエンジン車を主対象としています。
一方、ACEAはヨーロッパの自動車メーカーによる規格で、ディーゼル車やターボ搭載車を想定しています。
つまり、API=ガソリン中心、ACEA=ディーゼル中心という特徴があります。
また、ヨーロッパは高速道路(アウトバーン)の長時間高負荷走行が前提のため、ACEAは高温安定性や耐酸化性をより重視しています。
② 評価基準と試験条件の違い
API規格は、主に試験機を使った「理論的な性能評価」を重視します。
耐摩耗性、清浄分散性、酸化安定性など、エンジンの保護性能を評価項目としています。
一方、ACEA規格は「実走行試験」を重視しており、長距離・高負荷走行での燃費性能やオイル寿命、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)への影響まで細かく規定されています。
そのため、ACEA認証オイルは欧州車特有の低温渋滞環境にも対応できるのです。
③ 規格表示とグレード構成の違い
APIは「SP」「SN」などのアルファベット2文字で表示され、後ろの文字ほど新しい規格を示します。
一方ACEAは、「A/B」「C」「E」などの分類を採用しています。
A/Bはガソリン・軽油兼用乗用車、Cは触媒対応、Eは商用ディーゼル車向けです。
さらに数字でグレードを区分することで、車種や排出ガス対策レベルに応じた細分化がなされています。
■ SAE粘度規格
もう一つ。エンジンオイルの性能を語る上で忘れてはならないのがSAE規格です。
これは「Society of Automotive Engineers(アメリカ自動車技術者協会)」が定めた粘度規格で、オイルの“硬さ”や“流れやすさ”を数値で示します。
たとえば「5W-30」や「0W-20」といった表記がこれにあたります。
前の数字(Wの前)は低温時の流動性、後ろの数字は高温時の粘度を示しています。
この組み合わせによって、寒冷地向け・高温地向けなど、使用環境に適したオイルを選ぶことができます。
こちらは、エンジンオイルの粘度と選び方に詳しく記載していますので、そちらを参照してください。
■ 認証を受けていないオイルのリスク
一見安価で魅力的に見えるエンジンオイルの中には、正式な認証を受けていない製品も存在します。
その多くは「相当品」や「ノーブランド品」と呼ばれ、性能試験をパスしていないケースも少なくありません。
このようなオイルを使用した場合、
-
摩耗が早く進行する
-
カーボンやスラッジの堆積
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オイル酸化による劣化の早期進行
-
ターボやバルブ系の焼き付き
といった問題を引き起こす可能性があります。
結果的に、経済性を重視して選んだつもりが、エンジン修理費用で何倍もの損失を生むケースもあるのです。
■ TAKUMIモーターオイルの品質へのこだわり
TAKUMIモーターオイルでは、基本的な製品ラインナップには正式なAPI認証を取得済みです。
また、国内外のレースフィールドで培われたデータをもとに、製品開発を行っています。
さらに、フルシンセティック(100%化学合成油)をベースとし、低摩擦・高耐熱性を両立。
一般車からサーキット走行まで幅広く対応するラインナップを展開しています。
公式サイトでは「SP規格」「DL-1規格」などの認証情報も公開しており、ユーザー様が安心して製品を選べるよう透明性を徹底しています。
■ エンジンオイル選びの3つのポイント(まとめ)
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愛車の取扱説明書を確認する
メーカーが推奨するオイル規格(例:SP規格、DL-1など)を必ず確認しましょう。 -
規格マークをチェックする
APIマーク、ILSAC GF-6、ACEA表記などがあるか確認。無印は避けましょう。 -
信頼できるブランドを選ぶ
公式認証を持たないメーカーは選ばない。日本製・認証済みの製品を選ぶことが安心の第一歩です。
製品に規格コードが表示されていても、メーカーやブランド全体の信頼性を要チェック!
TAKUMIモーターオイルでは、レース用から街乗り用、旧車用まで豊富なラインナップで、お客様の好みに合うエンジンオイル・ギアオイルを各種取り揃えています。
【ラインナップの一部をご紹介】
高回転を多用する乗り方、スポーツカーで峠を攻める!という方は、燃費よりもパワーを出せる高粘度のエンジンオイルがお勧めです。
高粘度エンジンオイル(例)
MICRO TITANIUM MELT(マイクロチタン)シリーズ
5W-30/5W-40/10W-55/15W-60
高性能エンジンオイル+マイクロチタンによる潤滑性能とエンジン内部クリーニング作用をプラス。パワーアップした愛車を長く乗りたい方に最適です。
0W-40/5W-50/10W-40/10W-60
ハイパワー車、高性能車、サーキット走行に求められる性能を純粋に追求したモデル。愛車本来のパフォーマンスを発揮したい方に最適です。
高粘度というのも、あくまでSAE粘度10~20番アップが限界だと考えてください。
それ以上の硬いオイルを使用するとオイルの粘度にエンジンパワーが負けてしまい、エンジン回転数の上昇が遅くなりクルマが重く感じるようになります。
5W-30 → 5W-50 or 10W-40 or 10W-50
もちろん、チューニングを施して、エンジンパワーを上げている車両はこの限りではありません。
低粘度エンジンオイル(例)
0W-16/0W-20/0W-30
燃費を重視する乗り方や、始動性が気になる方、国産の高年式スポーツカー(メーカー指定粘度が0W-20/0W-30)にお乗りの方は、こちらの低粘度エンジンオイルであるHYBRIDシリーズがお勧めになります。
ちなみに、HYBRID(ハイブリッド)と言うネーミングですが、ハイブリッド車用と言う訳ではなく、2種類のベースオイルにハイブリッド処理を行い、製品化したことから名付けられました。ハイブリッド車以外にも使用できます。
中粘度エンジンオイル(例)
5W-20/5W-30/5W-40/10W-40
普段は街乗りでサーキットには行かないけど、たまにアクセル多めに踏むよ、という方で、コスパの良い高品質なエンジンオイルを使いたい!というユーザー様へ最適なエンジンオイルです。
当社の主力製品でもあります。
「解説は読んだけど、やっぱり自分で選択するのは不安だ…!」という方へ!
TAKUMIモータオイルでは皆さまに合ったオイルや添加剤に関するアドバイスを受け付けております。
こちらのリンク【適正オイルのご質問】よりお気軽にお問合せください。
TAKUMIモーターオイルでは、高性能ギアオイルもご用意しております。
75W-90/80W-90 / 75W-140/85W-140
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