2026年4月現在、私たちが直面している中東情勢、特にイランを中心とした軍事緊張とホルムズ海峡の事実上の封鎖は、エンジンオイル業界にとって「1970年代のオイルショック以来の激震」と言っても過言ではありません。
TAKMOカープロテクションズ(旧TAKUMIモーターオイル)の視点から、この危機がどのように皆様の愛車、そしてお財布に直結するのか。ベースオイル、添加剤、小売価格という3つの柱を中心に徹底解説します。
1. ベースオイル供給網の分断:Group IIIの「空白」
エンジンオイルの約80~90%を構成する主成分、それがベースオイルです。今回のイラン情勢で最も打撃を受けているのが、この供給ルートです。
Group III(高性能ベースオイル)への高い依存度
現代の省燃費車(0W-20や0W-16指定車)や高性能車に不可欠な「100%化学合成油」の多くは、Group III(HIVI:高粘度指数ベースオイル)を使用しています。実は、このGroup IIIの世界的な主要生産拠点は、サウジアラビア、UAE、カタールといった中東諸国に集中しています。
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ホルムズ海峡封鎖の衝撃: 日本の石油元売りや独立系メーカーが輸入するGroup IIIベースオイルの多くは、ペルシャ湾を抜けて日本へ届きます。2026年2月末の軍事衝突以降、この航路が物理的に遮断されました。
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代替ルートの限界: 中東産が届かないとなると、韓国や米国、欧州産に頼らざるを得ません。しかし、世界中のメーカーが一斉にこれらの「非中東産」へシフトしたため、現在、世界的なベースオイル争奪戦が勃発しています。
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PAO(ポリアルファオレフィン)への波及: Group IIIが足りなくなれば、より高価なGroup IV(PAO)への需要がシフトしますが、PAOの製造には膨大なエネルギーが必要です。原油価格が1バレル100ドルを突破している現在、PAOの生産コストも異常な勢いで上昇しています。

2. 添加剤パッケージの供給危機:複雑なパズルの崩壊
オイルの残りの10~20%を占めるのが添加剤です。酸化防止剤、清浄分散剤、摩耗防止剤など、数十種類の化学物質が絶妙なバランスで配合されていますが、ここにもホルムズ海峡の実質的な閉鎖の影響が忍び寄っています。
「4大添加剤メーカー」の苦悩
世界の添加剤市場は、ルブリゾール、インフィニウム、オロナイト、アフトンの4社でほぼ独占されています。彼らの工場は米国や欧州、シンガポールにありますが、その原料となる中間化学品の多くが、実は中東の石油化学プラントから供給されています。
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原料コストの高騰: 添加剤の原料はナフサから抽出される誘導体です。原油価格に連動してナフサ価格が高騰し、さらに中東からの原料供給が滞ることで、「特定の成分が1つ足りないだけで、オイルが1缶も作れない」というアッセンブリー・ストップの状態が起き始めています。
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物流の「遠回り」による遅延: 欧州からアジアへ向かう船舶は、通常スエズ運河を通りますが、紅海周辺の不安定化とイラン情勢の連動により、喜望峰(アフリカ南端)を回るルートへの変更を余儀なくされています。これにより、輸送日数はプラス2週間から1ヶ月、運賃は3倍以上に跳ね上がっています。

3. 小売価格へのインパクト:2026年「新価格」の現実
さて、ユーザーの皆様が最も気になる「いくらになるのか?」という点です。悲観的な予測かもしれませんが、現実は極めて厳しいものです。
販売価格を押し上げる4つの要因
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原材料費: ベースオイルと添加剤のダブル値上げ。
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物流サーチャージ: 船便の運賃高騰と保険料の跳ね上がり。
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為替影響(円安): 有事のドル買いにより、1ドル150円台後半で推移する円安が、輸入コストをさらに増幅。
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製造エネルギーコスト: 国内のブレンディング(混合)工場での電気・ガス代の上昇。
お伝えしたいこと。
上記の通りエンジンオイル価格は今後上昇することになります。とは言え、この予測はあくまでも現在の状況が改善されない場合であって、各国政府の対策や今後の動向によって大きく結果が変わります。また、私たちオイル業界全体としても最大限の努力と工夫で、消費者の皆様へオイルを届けたいと考えています。そして、本当に必要な人の手に製品が届き、お役に立てることを心から願っています。どうか、パニックによる買い占めや転売行為は控えてくださいますようお願いいたします。
TAKMOの視点:
多くのメーカーが価格改定に踏み切る中、私たちのようなD2C(製造直販)ブランドは、中間流通コストを省くことで「上昇幅を最小限に抑える」努力を続けています。しかし、原材料そのものの高騰は「自助努力」の限界を超えつつあるのが本音です。
4. この状況下で賢いカーオーナーはどう動くべきか?
情勢が不透明な今、私たちはただ値上げを受け入れるしかないのでしょうか? 以下の3つの戦略を提案します。
① 「早めの確保」と「適切な保管」
もし愛車に特定のこだわり(特定の粘度やグレード)があるなら、1〜2回分程度のストックを今のうちに確保しておくことをお勧めします。
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保管のコツ: 未開封であればオイルは3〜5年は変質しません。ただし、温度変化の激しい場所や直射日光を避け、冷暗所で保管してください。
② 「走行距離」ではなく「期間」での管理の徹底
価格が上がると「もう少し引っ張ろう(交換を遅らせよう)」という心理が働きます。しかし、ベースオイルや添加剤の質が不安定な時期こそ、エンジン内部の保護を優先すべきです。
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たとえ価格が20%上がっても、エンジンが焼き付いて数十万円の修理費がかかるリスクに比べれば、オイル交換費用は微々たるものです。
③ 信頼できる「直販ブランド」へのシフト
広告費や複雑な流通網を持つ大手ブランドは、そのコスト構造上、値上げ幅が大きくなりがちです。TAKMOのように、工場から直接ユーザーへ届けるモデルを採用しているブランドは、**「中身の質を落とさずに価格を抑える」**という点で、こうした有事の際に真価を発揮します。
結論:エンジンオイルはもはや「戦略物資」
2026年のイラン情勢は、単なる「遠い国の戦争」ではありません。皆様のガレージにあるオイル缶一滴一滴が、地政学的なリスクにさらされています。
供給不足が深刻化すると、市場には「低品質なベースオイルを混ぜた粗悪品」が安価で出回るリスクも高まります。こんな時こそ、スペック表やブランドの姿勢をしっかりと見極め、大切なエンジンを守るための「正しい選択」を忘れないでください。
「愛車の健康寿命を延ばすために、今、どのオイルを選ぶべきか?」
もし粘度選定や規格(API SQ規格やILSAC GF-7など)について迷われているなら、私たちが現在の在庫状況とあわせて最適なアドバイスを差し上げます。
まずは、あなたの愛車の「車種名」と「現在の走行距離」を教えていただけますか?この情勢下でも最適なメンテナンスプランを一緒に考えましょう。
あなたの愛車に最適なオイルを見つけませんか?
「私の車、この走行距離ならどの性状を重視すべき?」
そんな疑問があれば、ぜひTAKMO公式サイトからお気軽にお問い合わせください。
開発チームが、あなたの車種と走行スタイルに合わせた「究極の1缶」をアドバイスします。
“愛車を守る品質。”
TAKMO(旧TAKUMIモーターオイル)では、レース用から街乗り用、旧車用まで豊富なラインナップで、お客様の好みに合うエンジンオイル・ギアオイルを各種取り揃えています。
【ラインナップの一部をご紹介】
MICRO TITANIUM MELT(マイクロチタン)シリーズ
5W-30/5W-40/10W-55/15W-60
マイクロチタンシリーズは、高品質なベースオイル贅沢に使用し、スポーツ走行からサーキット走行まで耐えうる性能を与えられています。そこに更にマイクロチタン技術によるエンジン保護性能をプラスし、耐久性の向上をも達成。
そのフィーリングは、日常のドライブから長距離クルージングまで、エンジンの「上質さ」を極限まで高め「究極のしなやかさ」を目指したオイルです。高性能エンジンオイル+マイクロチタンによる潤滑性能とエンジン内部クリーニング作用をプラス。愛車を気持ちよく、長く乗りたいユーザー様やハイスペックなお車にお乗りのユーザー様に最適なエンジンオイルです。
X-TREMEシリーズ(高粘度エンジンオイル)
0W-40/5W-50/10W-40/10W-60
高回転を多用する乗り方、スポーツカーでサーキットを攻める!という方は、燃費よりもパワーが出せ、かつエンジン潤滑保護力が高い高粘度エンジンオイルがお勧めです。ハイパワー車、高性能車、サーキット走行に求められる「極限の純粋な力」追求したモデル。
愛車本来のエンジンパフォーマンスを発揮したい方に最適です。省燃費性能や強い清浄作用をお求めの方には不向きです。
高粘度というのも、あくまでSAE粘度10~20番アップが限界だと考えてください。それ以上の硬いオイルを使用するとオイルの粘度にエンジンパワーが負けてしまい、エンジン回転数の上昇が遅くなりクルマが重く感じるようになります。
5W-30 → 5W-50 or 10W-40 or 10W-50
もちろん、チューニングを施して、エンジンパワーを上げている車両はこの限りではありません。
0W-16/0W-20/0W-30 (低粘度エンジンオイル)
燃費を重視する乗り方や、始動性が気になる方、国産の高年式スポーツカー(メーカー指定粘度が0W-16/0W-20/0W-30)にお乗りの方は、こちらの低粘度エンジンオイルであるHYBRIDシリーズがお勧めになります。
新型車はぞくぞくと0W-20の粘度指定が増えています。0W-16や0W-20で物足りなさや低粘度すぎる!と感じられる方には、0W-30がお勧めとなります。
ちなみに、HYBRID(ハイブリッド)と言うネーミングですが、ハイブリッド車用と言う訳ではなく、2種類のベースオイル(Gr.3+Gr.4)にハイブリッド処理を行い、製品化したことから名付けられました。ハイブリッド車以外にも使用できます。
また、アメリカ石油協会が認証する世界的なエンジンオイル規格である【API規格】を正式に取得しており、安心してご使用になれます。

HIGH QUALITYシリーズ(中粘度エンジンオイル)
5W-20/5W-30/5W-40/10W-40
普段は街乗りでサーキットには行かないけど、たまにアクセル多めに踏むよ、という方で、コスパの良い高品質な「万能スペック」エンジンオイルを使いたい!というユーザー様へ最適なエンジンオイルです。
エンジンオイルに求められる性能をバランスよく配合しており、粘度ラインナップも豊富なため、ご自身のおクルマに最適な選択が可能です。
HYBRIDシリーズ同様に、アメリカ石油協会が認証する世界的なエンジンオイル規格である【API規格】を正式に取得しており、安心してご使用になれます。
当社の主力製品でもあります。
「解説は読んだけど、やっぱり自分で選択するのは不安だ…!」という方へ!
TAKMO(旧TAKUMIモータオイル)では皆さまに合ったオイルや添加剤に関するアドバイスを受け付けております。
こちらのリンク【適正オイルのご質問】よりお気軽にお問合せください。
TAKMO(旧TAKUMIモータオイル)では、高性能ギアオイルもご用意しております。
75W-90/75W-140/85W-140
一般走行からスポーツ走行まで使用可能なMULTI GEAR シリーズは、主にマニュアルトランスミッションに使用される【GL-4規格】と、主にディファレンシャルギアやトランスファーギアに使用される【GL-5規格】をラインナップ。製品容量も使用しやすい2L缶をご用意しております。
また、より過酷なモータースポーツに使用される方のために、RACING GEAR シリーズもご用意。より高粘度かつ極圧性能を高めたモデルであり「75W-140」と「85W-140」をラインナップしています。用途に合わせての選択が可能です。
他にも更に
”愛車を守る品質。” の各種添加剤をラインナップ。エンジンオイルや燃料に添加剤を使用することで、ご自身の好みや目的に合わせてエンジンオイルをチューニングすることが可能です。DIYでのクルマいじりの楽しみも増えます。
TAKMOでは、2輪バイク用のオイルも人気。JASO(日本自動車技術会)が定めた4サイクル二輪車用エンジンオイルの規格であるMA2規格を正式認証しています。マニュアルトランスミッションの2輪バイクに採用される湿式クラッチ搭載車に適しており、高性能な【MA2規格】と一般向けの【MA規格】に分類されますが、TAKMOではより高性能な【MA2規格】を採用しています。
粘度ラインナップはカブなどの小型バイク用に「GP RIDER 5W-30」、中型~大型バイクのツーリング用途に「GP PREMIUM 10W-40」、中型~大型バイクのスポーツ走行向けに「GP RACING 10W-50」をご用意しています。TAKMOは、あらゆるライディングシーンに応えていきます。
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