エンジンオイルとベースオイルの種類| 基礎知識を解説

エンジンオイルの種類とベースオイル

|化学合成油、部分合成油、鉱物油、何がどう違うの?

基本的な内容ですが、クルマ好きの興味の尽きない化学合成油や部分合成油、鉱物油など、エンジンオイルの大部分を占めるベースオイルの違いってぼんやりとしか理解していないこともありますね。ここではそう言ったエンジンオイルの種類について、『ベースオイル』を切り口にご解説していきたいと思います。

エンジンオイルは大まかに言うと、その成分の約80%を構成する『ベースオイル』と、残りの約20%を構成する『添加剤』をブレンドしたものになります。エンジンオイルの種類や性能はこの約80%を構成する『ベースオイル』の種類によって特徴や価格が分かれています。

 

1.エンジンオイルの種類=ベースオイルの種類

ベースオイルの種類を下記に並べてみます。一般的には、上から下への並び順が性能順となります(上から高性能)。

 

グループⅤ エステル系、動植物由来、その他グループⅠ~Ⅳに属さないもの全て

グループⅣ パオ(PAO/ポリアルファオレフィン)

グループⅢ 高度水素化分解基油

グループⅡ 鉱物油(グループⅠよりはキレイ)

グループⅠ 鉱物油

いずれのオイルも地下から採れる原油から作られますが、現在では化学的に精製、化学反応処理されたグループⅢ~Ⅴが化学合成油、グループⅠ、Ⅱが鉱物油として広く認識されています。

グループⅢは鉱物油と化学合成油のちょうど真ん中に位置づけされることや、「もともとは原油由来の油分を化学処理(高度水素化分解)しているので、化学合成油ではなく鉱物油である」、という意見をよく耳にします。しかし現代では原油は多くのハイテク産業に必要な基本原料であり、精製および化学反応技術の進展に伴い高付加価値製品としてあらゆる分野で実用化されています。

例えば、スマートフォンやコンピューター、ナビのディスプレイや各種部品、燃料電池技術の材料、医薬品、医療機器、電子機器、包装材料、自動車用タイヤ、等々です。このようなハイテク製品と原油を関連付ける人は少ないかと思います。更に、自動車のタイヤは原油由来の化学合成ゴムですが、自動車のタイヤを化学合成製品ではなく、「鉱物油のタイヤ」と考えることはあまりないと思います。

実際にこの論争については、アメリカの広告審議を担当するNAD(National Advertising Division)において、既に決着が着いています。興味がある方はこちらの記事「化学合成油の概念が変わった」(出典:ウィキペディア)も読んで見てください。

このような技術的、性能的、または歴史的な背景から、当社でもグループⅢベースオイルの製品は【全合成油】と表記しています。ちなみに、「化学合成油」、「全合成油」、「合成油」などはメーカーやブランド毎に表記の違いがあっても、すべて同様の意味となります。

現在、最も需要が高いのはグループⅢベースオイルであり、品質と価格のバランスがよく世界でもっとも多く使用されている全合成油(化学合成油)となります。TAKUMIモーターオイルのラインナップでは、

 

2.グループⅢベースオイル

HIGH QUALITYシリーズ(商品紹介ページ)

5W-20

5W-30

5W-40

10W-40

になります。街乗り~スポーツ走行まで必要十分な性能と価格がバランスしている多くの方にお勧めな万能エンジンオイルです。

 

グループⅣ(PAO)は、精製工程において粘度調整の幅が大きく使い勝手のよいベースオイルですが、近年では価格が高騰しており、グループⅢと混合して使用することが多くなっています。TAKUMIモーターオイルのラインナップでは、

 

3.グループⅣベースオイル

HYBRIDシリーズ(商品紹介ページ)

0W-16

0W-20

0W-30

ハイブリッド車や最新の低粘度エンジンオイルを使用する車両、高年式のスポーツカーにも最適です。

 

 

HYBIRDシリーズに加えて、

X-TREMEシリーズ(商品紹介ページ)

10W-40

10W-60

もPAO配合の製品です。この高粘度エンジンオイルは、サーキット走行で高回転を多用する車両やハイパワー車、チューニング車両に最適です。

 

4.グループⅤベースオイル

更に、グループⅤ(エンジンオイルでは、主にエステル)は、ジエステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステルなど種類があります。エンジンオイルの市場ではエステルが最も高品質なベースオイルという認識がありますが、極性の高いエステルは他の添加剤と混ざりにくくエステル単体でベースオイルとして用いることはありません。つまり100%エステルベースのエンジンオイルは存在しないのです。エステルは他のベースオイルと混合して安定性を高めるための添加剤的な役割を担うことが多くなります。TAKUMIモーターオイルのラインナップでは、

X-TREMEシリーズ(商品紹介ページ)

0W-40

5W-50

になります。低粘度~高粘度までをカバーするワイドレンジオイルなので、エステルを配合することで、安定性を高めています。こちらもサーキットでのレースやドリフト、ラリー車など競技系の車両を想定しています。

 

 

5.グループⅠ&Ⅱベースオイル

最後に鉱物油(グループⅠ、Ⅱ)ですが、グループⅠは主に船舶用や機械、工業用としての使用となり、自動車用エンジンオイルとしてはグループⅡの鉱物油が用いられます。現在では鉱物油自体の需要が減少しており、製造コストが上昇しています(たくさん製造することで価格を抑えることが出来るため)。そのため、需要が多く大量生産できる化学合成油と比較しても、価格面での優位性も失っています。但し、1960年~1980年代のいわゆる旧車、クラシックカーには一定の需要があるため、TAKUMIモーターオイルではSTANDARDシリーズとしてラインナップしています。

 

STANDARDシリーズ(商品紹介ページ)

10W-40

 

エンジンオイルの種類に関する解説は、如何でしたでしょうか。エンジンオイルの種類は『ベースオイル』を知ることで理解が深まります。是非ここまで読まれた方は、「エンジンオイルの粘度と選び方」から、愛車に最適なエンジンオイルの考え方を理解してみてください。