知っておきたい。エンジンオイルの価格のお話
|海外旅行がエンジンオイル価格に影響!?
クルマを愛する皆さまなら、最近(2024年7月時点)はエンジンオイルの価格が上がったな~と感じている方も多いのではないでしょうか。
実はエンジンオイルは実際に値上がりしており、その現象が始まったのは2020年1月に発生した新型コロナウィルス感染症の時期からでした。一見無関係な新型コロナウィルス感染症とエンジンオイルの価格には、いったいどんな関係があったのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
1.新型コロナウィルス感染症が与えた影響
まだまだ記憶に新しい新型コロナウィルス感染症。2024年現在は収束しているとは言え、世界のエネルギー市場に大きな影響を与えました。2020年初頭から各国でロックダウンが実施され、交通量や工業生産の急減により、原油需要が大幅に減少しました。その結果、原油価格は一時的に急落しましたが、経済活動の再開に伴い、原油価格は回復基調を見せました。
2021年以降は、供給制限と需要の増加が重なり、再び石油価格が上昇傾向に転じました。エンジンオイルの価格は、こうした原油価格の動向と密接に連動しており、日本市場でも同様の影響を受けました。また、感染症対策として人の往来が制限され、特に海外渡航が厳しく制限された結果、全世界で飛行機の運航が大きく減少しました。一体何の話かと思われるかも知れませんが、飛行機が飛ばなくなった結果、飛行機に搭載されるジェットエンジンの燃料である「ジェット燃料」の生産量が激減したのです。
飛行機用ジェット燃料の需要とベースオイルの生産量には強い相関関係があります。ジェット燃料とベースオイルは、原油精製のプロセスで同時に生成される製品です。パンデミックによって航空需要が急減し、ジェット燃料の生産量が低下すると、同時にベースオイルの供給も減少しました。これにより、エンジンオイルの原材料となるベースオイルの供給が逼迫し、価格上昇の一因となりました。2024年現在、航空需要は回復しつつありますが、生産体制の再調整には時間がかかるため、依然として供給面での課題が残っています。
ジェット燃料需要の減少
↓
原油精製量の減少
↓
ベースオイルの生産量の減少
と、繋がってしまったのです。
海外旅行者が減り、飛行機が飛ばなくなっても、自動車が動かなくなった訳ではありません。そこで全世界的に自動車用エンジンオイルに使用するベースオイルが不足し争奪戦なりました。その結果、エンジンオイルの80%を構成するベースオイルの価格が著しく高騰してしまったのです。
2. 日本円-USドルの為替変動
新型コロナウイルスの影響により、各国の経済政策や金利政策が変化し、日本円とUSドルの為替相場も大きく動きました。パンデミック初期には安全資産としての円が買われ、一時的に円高が進行しましたが、その後、アメリカの利上げ政策や経済回復の進展に伴い、ドル高円安の傾向が続きました。エンジンオイルの価格にとって、為替相場は輸入価格に直結するため、円安が進行することでエンジンオイルの輸入コストが上昇し、日本国内の価格上昇を引き起こしています。2024年現在も、日米の金利差や地政学的リスク(世界各国で起きている紛争や災害)が為替相場に影響を及ぼしており、引き続き注視が必要です。
日本製のエンジンオイルであっても、原油価格や一部の添加剤は輸入品を使用しているため、円安の影響はとても大きいのです。
3.日本国内おける流通経路の違い
本ページを訪れているユーザー様ならご存知の方も多いと思いますが、TAKUMIモーターオイルは卸売業者(問屋)を介さず、私たちメーカーからお客様への直接販売を行っています。エンジンオイルはその商品特性として、重量物であり、危険物でもありますので、オイル専門の流通業者を通して小売店へ運ばれユーザー様に購入して頂くことが一般的でした。ただし、この流通過程でそれぞれの事業者が利益を上乗せする必要があるため、どうしても流通コストが膨らみ、製品の末端価格が高くなってしまうという事情がありました。
そこで、TAKUMIモーターオイルではインターネット通販の拡大に目を付け、一切の卸売業者、流通業者を通さずに独自の流通システムを構築し、これまでの流通コストを一気に削減することに成功しました。これにより末端価格の上昇を抑え、製品の品質は高水準を維持したまま、これまでよりもリーズナブルな価格設定が可能となりました。
2024年からは多くのユーザー様からの声に応え、全国のカー用品店での販売を開始しましたが、TAKUMIモーターオイルが構築した流通経路と、特別な交渉により店頭販売価格はネット通販価格と同額でのご提供となっています。
4.広告宣伝費を抑えたマーケティング
通常、製品を知ってもらいお買い上げいただくには、多くのマーケティングコスト(広告宣伝費)が必要となります。しかし、TAKUMIモーターオイルでは基本的にお客様からの口コミとSNSによる評判の拡散によってお客様にその存在を知って頂いています。そのため、多額の広告費を使うことなく販売が可能となっており、そのコスト削減効果は製品価格に反映されています。
5. 2024年におけるエンジンオイルの世界的トレンド
2024年におけるエンジンオイル市場では、持続可能性と高性能化が大きなテーマとなっています。環境規制の強化に伴い、低粘度で燃費向上を図るエンジンオイルや、再生可能な原料を使用した製品が注目を集めています。また、電気自動車(EV)の普及も進んでいますが、内燃機関車の需要は引き続き存在するため、エンジンオイルの需要も根強く残っています。これにより、各メーカーは新たな技術を導入した高付加価値のエンジンオイルの開発に力を入れ、競争が激化しています。日本国内においても、こうしたトレンドに対応する新製品の投入が進められており、価格面での変動要因の一つとなっています。
【まとめ】
-エンジンオイルの価格を決める要因5選-
1.原油価格(石油価格)
2.外国為替相場
3.流通経路
4.広告宣伝費
5.ブランドの想い
1~2は外部要因でなかなかコントロールできません。3~4は各社の戦略や努力によるものです。
ご自身と共感できるエンジンオイルブランドや製品を選択していきましょう!
TAKUMIモーターオイルでは、レース用から街乗り用、旧車用まで豊富なラインナップで、お客様の好みに合うエンジンオイル・ギアオイルを各種取り揃えています。
【ラインナップの一部をご紹介】
高回転を多用する乗り方、スポーツカーで峠を攻める!という方は、燃費よりもパワーを出せる高粘度のエンジンオイルがお勧めです。
高粘度エンジンオイル(例)
MICRO TITANIUM MELT(マイクロチタン)シリーズ
5W-30/5W-40/10W-55/15W-60
高性能エンジンオイル+マイクロチタンによる潤滑性能とエンジン内部クリーニング作用をプラス。パワーアップした愛車を長く乗りたい方に最適です。
0W-40/5W-50/10W-40/10W-60
ハイパワー車、高性能車、サーキット走行に求められる性能を純粋に追求したモデル。愛車本来のパフォーマンスを発揮したい方に最適です。
高粘度というのも、あくまでSAE粘度10~20番アップが限界だと考えてください。
それ以上の硬いオイルを使用するとオイルの粘度にエンジンパワーが負けてしまい、エンジン回転数の上昇が遅くなりクルマが重く感じるようになります。
5W-30 → 5W-50 or 10W-40 or 10W-50
もちろん、チューニングを施して、エンジンパワーを上げている車両はこの限りではありません。
低粘度エンジンオイル(例)
0W-16/0W-20/0W-30
燃費を重視する乗り方や、始動性が気になる方、国産の高年式スポーツカー(メーカー指定粘度が0W-20/0W-30)にお乗りの方は、こちらの低粘度エンジンオイルであるHYBRIDシリーズがお勧めになります。
ちなみに、HYBRID(ハイブリッド)と言うネーミングですが、ハイブリッド車用と言う訳ではなく、2種類のベースオイルにハイブリッド処理を行い、製品化したことから名付けられました。ハイブリッド車以外にも使用できます。
中粘度エンジンオイル(例)
5W-20/5W-30/5W-40/10W-40
普段は街乗りでサーキットには行かないけど、たまにアクセル多めに踏むよ、という方で、コスパの良い高品質なエンジンオイルを使いたい!というユーザー様へ最適なエンジンオイルです。
当社の主力製品でもあります。
「解説は読んだけど、やっぱり自分で選択するのは不安だ…!」という方へ!
TAKUMIモータオイルでは皆さまに合ったオイルや添加剤に関するアドバイスを受け付けております。
こちらのリンク【適正オイルのご質問】よりお気軽にお問合せください。
TAKUMIモーターオイルでは、高性能ギアオイルもご用意しております。
75W-90/80W-90 / 75W-140/85W-140
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